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漢方豆知識

漢方薬と民間薬

漢方薬と民間薬は間違いやすく、混同して使われます。
下利にゲンノショウコ、便秘にセンナ、皮膚病にドクダミ、イボにハトムギなどは民間薬と呼ばれ、ひとつの薬草に対し、一つの病気が対応しています。
これに対し、漢方薬は、いくつかの薬草で構成され、様々な病気に応用されます。
たとえば、葛根湯は、葛根、麻黄,桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草の7種の薬草で構成され、応用される病気は、感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ炎)、肩こり、神経痛、蕁麻疹、等々です。
漢方薬と民間薬の根本的相違は、漢方薬には診断・治療体系が確立していますが、民間薬にはそのような体系はない、というところにあります。
具体的には、下表のようになります。

  漢方薬 民間薬
薬草 2種類以上 1種類
適応と禁忌 ある ない
応用疾患 多数 1種類
使い方 漢方の基準に従う 基準はない
作用 作用あり 作用がない場合がある

食性を考えよう

食性を考えよう

普段なにげなく食べている食物にも、それぞれの性格を持っているのをご存知でしょうか。患者の病態が一人一人違っているように、食物にも患者に合う食べ物と合わない食物があるのです。
漢方医学においては、食物や薬は「五味」と「五性」という性格を持っているといわれています。
五味とは、すっぱい、苦い、甘い、辛い、塩辛い、であり、これは味ということで分かりやすいでしょう。
しかし五性については、比較的鈍感です。五性とは、寒(冷やす)、涼(さます)、熱(熱くする)、温(温める)、平(感熱作用がない)の五つの薬性のことです。
現代栄養学では五性は殆ど無視されています。体が冷えている患者に、西瓜や柿などがビタミンが豊富ということで平気で出されます。西瓜や柿は体を冷やすので、食べれば食べるほど体を冷やします。
体が冷えると血液循環が悪くなり、いろいろな障害を引き起こします。しかし、暑がりで、体の熱い人には、これらの冷やす食物は適しています。
一般的に、太陽に近いものほど寒の作用が強く(柿、梨)、地中深くなるほど熱の作用が強い(人参、自然薯)。また、冬できる食物(里芋、大根)、あるいは北方で生育する食物(馬鈴薯)は温熱作用があり、夏できる食物(西瓜、キュウリ)あるいは南方で採れる食物(キウイ、みかん)は寒涼作用があると考えてよいでしょう。

殺人薬が漢方では貴い薬

殺人薬が漢方では貴い薬

今回は鳥兜(トリカブト)のお話をしましょう。殺人事件で話題になりましたが、漢方にとっては大変大事な薬で、二千年前から使われています。
漢方で使われる場合は、多くは減毒されていますので、使い方を正しく守れば心配する事はありません。
トリカブトは漢方では「附子(フシ)」とよばれ、キンポウゲ科トリカブト属の根を使います。
関節痛、腰痛、筋肉痛などの疼痛疾患には、必需品です。当院で使われる関節リウマチの多くの処方に附子が使用されています。体を温める作用もあり、冷え症の方にもよく応用されます。利尿、強心作用もあり、危急存亡の時に登場する、心強い薬でもあります。
附子を自由に使えば漢方家として一人前だといわれるぐらい、厳密な調整が必要ですので、素人の方は、避けた方がよいでしょう。

四十過ぎたら八味丸

八味丸(八味地黄丸ともいう)ほど中年以降の年代の人にありがたい薬はありません。
一言でいえば老化予防の薬といえます。
中年以降になりますと、歯が抜け、髪が薄くなり、筋力が低下してつまずきやすくなり、骨も脆くなり、皮膚もカサカサしてきます。物忘れがひどくなり、白内障になります。
性欲も減退し、男では前立腺肥大症になります。これらは皆、老化に伴うものです。漢方ではこの状態を「腎虚(じんきょ)」といいます。この腎虚に対する薬が八味丸なのです。
老化はある程度仕方ありませんが、八味丸でその速度を遅らせることはできるでしょう。
その為には早めに八味丸の服用を開始することです。私の漢方の師匠である藤平健先生は、「四十過ぎたら八味丸」というキャッチフレーズを生み出しました。
実際、眼科の医師である藤平先生は、老人性白内障の予防と改善に八味丸を応用しています。
(出典元:http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/wakan/outline/predecessor/fujihira.html

壮年期・老年期からの漢方

壮年期・老年期からの漢方のキーワードは「腎を強く」し、「瘀血(おけつ)を取る」ことです。

ここでいう「腎」は現代医学でいう「腎臓」ではありません。漢方での 腎は人間の生命活動と生殖活動を司ります。若年期の腎は元気ですので、髪を伸ばす、筋力を増す、骨を丈夫にする、肌を滑らかにする、などの生命活動を活発にし、脳機能の活性化、視力や聴力の増進なども受け持ちます。さらに、生殖活動も活発になり、子供を産めるようになります。

しかしながら、40歳を過ぎると、さすがの腎も機能が落ちてきます。これを「腎虚(じんきょ)」といいます。腎虚になれば、髪が抜け、筋力が低下しつまずきやすくなります。骨も弱くなり、肌もカサカサになります。脳機能も低下し、ボケや物忘れがひどくなります。眼は白内障になり、耳は難聴になります。生殖機能も落ちて、性欲減退し、男の場合は前立腺肥大症などになります。尿道も弱くなり、尿失禁、浮腫などがおきます。

これらの症状を一言でいえば、「老化」ということなります。漢方のありがたいところは、この腎虚つまり老化に対しても薬があるのです。それは「八味地黄丸」、略して八味丸(はちみがん)です。“40過ぎたら八味丸”という言葉があるように、老壮年期にはなくてはならない薬です。

さて、もう1つのキーワード「瘀血を取る」について見ましょう。瘀血の「瘀」は滞るという意味で、瘀血は、血液がネバネバして、サラサラ流れない、つまり高粘度血液のことを意味します。強い瘀血を放置しますと、脳血管障害(脳卒中)や狭心症、心筋梗塞を起こしやすくなります。瘀血の症状は、目のくま、顔のシミ、口唇が暗赤色、歯肉が暗赤色、舌が暗赤色、皮膚がカサカサ、手掌が紅い、痔がある、月経障害、みみず状血管(胸、首,大腿、下腿にみみずのような、細小血管が蛇行して見える)のうち幾つかがあれば、瘀血濃厚です。最終的には、瘀血圧痛点と呼ばれる、臍のまわり、両下腹部に圧痛が認められたら確定します。この瘀血に対しても強力な処方があります。「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」です。この薬は、血液粘度を下げ、末梢細小血管の循環を改善します。これも老壮年期にはなくてはならない薬です。

壮年期・老年期になると、この八味丸と桂枝茯苓丸を併用するのが大事です。この八味丸と桂枝茯苓丸の絶妙の組み合わせを「ゴールデン コンビネイション」とよび老壮年期の人たちに長期服用してもらっています。

屠蘇について

毎年何気なく飲むお屠蘇ですが、いつも気になることがあります。それは、屠蘇という言葉です。「屠」は、漢和辞典を引くと「ほふる、ころす」という意味であり、「蘇」は「よみがえる、生きかえる」という意味です。
正月というめでたい時に、蘇生を殺すという言葉はあまりに似つかわしくありません。そこで、いろいろ調べてみると、中国・明の時代に李時珍の著わした「本草綱目」という本草書にその由来が載っていました。要約すると、次の通りです。
「屠蘇酒というのは華陀(かだ)という古代の医師の造った処方で、元旦にこのお酒を飲めば、疫病や一切の不正の邪気を避けることができる。肉桂(にっけい)、山椒(さんしょう)、白朮(びゃくじゅつ)、桔梗(ききょう)、防風(ぼうふう)などの生薬を三角に縫った袋に入れ、お酒に一晩浸し、一家こぞって東に向かい、年少者から、年長者の順に屠蘇酒を飲む。 毎年こうして、元旦に飲めば、一代の間、無病であるといわれています。
ところで、蘇とはて鬼(きき)という鬼の名で、この薬酒がこのような邪悪を葬るというところから名がつけられた。」
これで胸の支えがとれ、ゆったりと屠蘇酒を味わうことができそうです。